INORI DOLL Kabuto
堅牢でありながら柔軟性に優れた鹿のなめし革を使用した吹き返し。吹き返しは、実用的な防御機能だけでなく戦国武士の美意識や精神性を反映した重要なパーツで、その形状や装飾には、それぞれの武士の個性や信条が表現されており、文化的・芸術的な価値を持っています。
緑色の威し糸で仕上げた兜の後ろ姿は、自然の生命力と落ち着きが共存する魅力的な仕上がりです。鮮やかで深みのある緑糸が整然と並んだ垂れ部分は、新緑を思わせる爽やかさと安らぎを感じさせます。金具や濃色の素材との調和が美しく、全体にバランスの取れた品格ある印象を与えます。その瑞々しい色合いは、自然の息吹と伝統的な工芸美を融合させた唯一無二の存在感を放っています。
錣(しころ)は、兜の後部や側面を覆う防具部分で、小札(こざね)と呼ばれる小さな板を糸で丁寧に編み上げて作られます。この構造により、柔軟性と強度を兼ね備え、首元を保護しながら動きやすさも確保します。細部にまでこだわった美しい編み目や色彩は、武士の威厳と装飾美を象徴する重要な要素です。
「合わせ鉢」は、複数の鉄板や素材を組み合わせて作られる鉢部分を指し、強度と美しさを両立させた特徴があります。接合部には職人技が光り、滑らかな曲線と精密な仕上げが兜全体の完成度を高めます。また、戦国時代の実用性を再現しつつ、現代では装飾としての美的価値も重視されています。
昭和53年2月20日 東京都文京区に生まれる
平成8年 高校卒業後、父(峻厳)のもと、家業である甲冑制作の修行を始める
平成20年 経済産業大臣指定伝統工芸品
江戸節句人形伝統工芸士の認定を受ける昨今では受け継がれてきて技術・技法をまもりつつ現代のニーズに合った作品も制作している。"叔父に二代目加藤一冑、初代加藤鞆美をもつ"
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